印刷洋紙は、同じように見えて様々な種類があり、紙の厚みは、ナノサイズでバリエーションがあります。紙製品は、箱や袋の形で物を包むことで運びやすくする機能があり、視覚や触覚などの感覚をもたらすことができます。
本ページでは、紙に関する基本的な事項を記載しています。
紙の種類
紙の原料は、植物の繊維です。木材チップや古紙から繊維を取り出したものをパルプと呼び、このパルプを使って紙が作られています。パルプ100%からできている紙を上質紙と呼びます。この上質紙をベースに、表面に塗料を塗布することでアート紙やコート紙、マット紙などの種類が作られています。
下記は、商業印刷系(チラシ、パンフ、冊子など)で主に使われる用紙の分類別一覧です。
分類名 | クラス | 内容 |
---|---|---|
アート紙 | A0、A1 | グロス系の塗料を塗布した洋紙を指す。A2クラスより表面の平滑度が高く、高級感を感じられます。 |
コート紙 | A2 | グロス系の塗料を20g/㎡程度塗布した洋紙を指します。光沢があり、グロスコートと呼ぶこともあります。 |
マット紙 | A2 | マット系の塗料を20g/㎡程度塗布した洋紙を指します。平滑度は、コート紙より低くなり、光沢度が低くなります。 |
上質紙 | パルプ100%で製造された洋紙。平滑度は低いため筆記性に優れています。 | |
軽量コート | A3 | 塗料を両面で15g/㎡前後塗布した洋紙です。軽量と名前にあるように、薄いコート紙を表しています。 |
紙サイズ
一般的な紙サイズは、A4サイズが主流ですね。A0から半分にするとA1サイズになり、A1を半分にするとA2サイズになります。A4サイズは、A0から四回半分にすることを繰り返したサイズとなります。
A系列、B系列のJIS規格サイズ一覧表をご覧ください。縦横の長辺が半分になっていることが分かると思います。
洋紙の規格サイズ
規格 | サイズ(mm) |
---|---|
ハトロン判 | 900×1200 |
L判 | 800×1100 |
四六判 | 788×1091 |
B判 | 765×1085 |
菊判 | 636×939 |
A判 | 625×880 |
洋紙のA全判のサイズ(625×880mm)に対応するJIS規格のA1サイズ(594×841mm)を比べると製品となるJIS規格サイズより、洋紙サイズは少し大きく設定されています。これは、印刷加工で必要な幅を含み、かつ最低限の損紙になるように考えられているためです。
業界用語
A1サイズに対応する原紙サイズをA全判と呼び、A0サイズはA倍判と呼びます。また、原紙を半分にすることを半切(半裁)、原紙を四分割することを四切と呼びます。例えば、四六判サイズの半分の紙のことを四六半切、四六判サイズの四分割した紙のことを四六四切と呼んでいます。
紙の厚み
紙の厚みの表現は、連量と坪量があります。
連量とは、規格サイズの紙1連分の重さを表し、単位はkgです。1連とは、薄紙の場合は1,000枚、板紙など厚みのある場合は100枚とされています。また、連量は、斤量とも呼びます。
坪量とは、洋紙や板紙などの1㎡あたりの重さのことです。単位は、g/㎡です。一般的にはあまり使わない単位ですが、製紙業や紙卸業では、坪量を使って商いが行われています。
上質紙、コート紙、マット紙、色上質紙の連量一覧表が下記にありますが、メーカーや銘柄で厚みに差がありますので参考としてください。
上質紙の連量
厚み | 四六判 | B判 | 菊判 | A判 |
---|---|---|---|---|
6 | ||||
6.5 | 45 | 43.5 | 31 | 28.5 |
7 | ||||
7.5 | ||||
8 | ||||
8.5 | 55 | 53 | 38 | 35 |
10 | 70 | 67.5 | 48.5 | 44.5 |
10.5 | ||||
11 | ||||
12 | ||||
13 | 90 | 87 | 62.5 | 57.5 |
14 | ||||
16 | 110 | 106 | 76.5 | 70.5 |
18.5 | 135 | 130.5 | 93 | 86.5 |
19 | ||||
25 | 180 | 125 |
コート紙の連量
厚み | 四六判 | B判 | 菊判 | A判 |
---|---|---|---|---|
6 | 63 | 61 | 43 | 40.5 |
6.5 | 68 | 65.5 | 47 | 43.5 |
7 | 73 | 70.5 | 50.5 | 46.5 |
7.5 | ||||
8 | ||||
8.5 | 90 | 87 | 62.5 | 57.5 |
10 | ||||
10.5 | 110 | 106.5 | 76.5 | 70.5 |
11 | ||||
12 | ||||
13 | ||||
14 | 135 | 130.5 | 93.5 | 86.5 |
16 | ||||
18.5 | ||||
19 | ||||
25 |
マット紙の連量
厚み | 四六判 | B判 | 菊判 | A判 |
---|---|---|---|---|
6 | ||||
6.5 | ||||
7 | ||||
7.5 | 65 | 45 | 41.5 | |
8 | 70 | 67.5 | 48.5 | 44.5 |
8.5 | 73 | 50.5 | 46.5 | |
10 | ||||
10.5 | ||||
11 | 90 | 87 | 62.5 | 57.5 |
12 | ||||
13 | ||||
14 | 110 | 106 | 76.5 | 70.5 |
16 | ||||
18.5 | ||||
19 | 135 | 93.5 | 86.5 | |
25 |
色上質紙の厚み
厚み | 四六判 |
---|---|
6 | |
6.5 | |
7 | 特薄口 |
7.5 | |
8 | 薄口 |
8.5 | |
10 | |
10.5 | 中厚口 |
11 | |
12 | 厚口 |
13 | |
14 | |
16 | 特厚口 |
18.5 | 最厚口 |
19 | |
25 | 超厚口 |
本を作る際の厚み計算の参考
本文の厚み=本文の枚数 × 洋紙の連量に該当する厚み
例えば、320頁 上質紙55kgの場合
320÷2×0.085=13.6mm
となります。これに表紙の厚みを加えると、本の厚みです。
背幅を決める際の参考にどうぞ!